ラッキーナンバー
近づいてきた足音が、ドアの前で止まる。
「あれ?鍵かかってる」
「先生休みなんじゃない?」
「えー、なんだぁ
誰か絆創膏持ってるかなー?」
きっと、私と一緒で料理の練習をしてた子が、指を切っちゃったんだろう。
女の子たちの声はだんだん遠ざかっていき、足音も聞こえなくなった。
それを確認して、くるめくんがそっと私の手をはなした。
「くるめくん?」
「あっ、ごめん、急に!」
くるめくんはスッと立ち上がり、私に手を差し出す。
私はそれにつかまり、立ち上がらせてもらう。
「でも、もう少し、坂下さんと居たかったんだ」
そう言ってくるめくんは、いつものようにふわっと笑った。