ラッキーナンバー
 


「あ、手当てしなきゃね」



そう言ってくるめくんは何事もなかったかのように救急箱がある所まで戻って行った。



「そういえば、どうしたの?そのケガ」

「あ、あぁえっと、今度の行事のために特訓してて…包丁でサクッと」

「そっかー、もうすぐ食欲の秋、だもんね」



はい、と絆創膏を手渡される

私はそれを受け取ってお礼を言い、自分の指に貼った。



「坂下さんは誰にあげるの?」

「あー、志築くんだよ」

「志築くん?」



首を傾げて、くるめくんが聞き返す。



「そうなの、でもあの男ってば拒否してね…やっ、でも私もあげたくてあげるわけじゃなくて、生徒会長からの命令だから仕方なく…ね!」



そうだよ

別に、好きであげるんじゃないんだから

特訓なんか元々必要ないじゃん…



でっ、でも!あげるからには、相手をギャフンと言わせるような

とびきりおいしい物を作らなきゃ私の気が済まないし!!



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