ラッキーナンバー
雨の日の約束
なんで、行くなんて言ってしまったんだろうか。
なんで好きだった人の彼女の見送りなんかに…
どうせ、
『またしばらく会えないけどぉ、浮気なんかしないでよー?』
『しねぇよ、俺が愛してんのは世界中でたった一人、お前だけだ』
『やーん、聖斗わたしもおっ!!!』
なんて、見たくも聞きたくもない二人の世界に巻き込まれるんだろう。
「ハァ……」
玄関で外を見つめながら、ため息をつく。
朝はあんなに晴れていたのに、放課後になると外は生憎のどしゃぶり。
もちろん傘なんか持っていなくて、明日のことと、ダブルで憂鬱な気分になる。
「坂下さん…?」
意を決して、雨の中に飛び出そうとしていた私に、声がかけられた。
「今、帰り?」
「くるめくん…」
振り向くと、相変わらずの優しい笑顔で立っているくるめくんがいた。