ラッキーナンバー
「ごめん、勝手に聞いちゃって」
「いや、全然…」
悪いのは、アキくんだし
「坂下さんは、諦めるの?その人のこと」
アキくんから聞いたってことは、私の好きな人が志築くんだってこともわかっているはずなのに
くるめくんはあえて名前をふせて、"その人"と呼ぶ。
「うん…たぶん……」
「僕は、諦めて欲しくないけどなぁ」
私が雨を見つめながら言うと、くるめくんがボソッと言った。
その言葉に驚いて隣を見れば、くるめくんが相変わらず笑顔で私を見る。
「だってそしたら、僕も諦めなきゃいけなくなるし、坂下さんのこと」
そう言ってからくるめくんは続ける
「弱ってる女の子に漬け込んでもし付き合えたとしても、それはフェアじゃないしね」
フェアって…誰と?