ラッキーナンバー
「僕さ、今までは好きな人のことは自分の力で幸せにしたいって、そればっかり思ってて」
ぼーっと降り続く雨を眺めながら、くるめくんが言う。
「だけど今は、本当に好きな人にはどんな形でも幸せでいて欲しい、って思う」
くるめ…くん……
「その人を笑顔にするのが、たとえ自分じゃなくても」
迷いもなくそう言うくるめくんは…綺麗だ。
男の人に"綺麗"なんて言葉を使うのは、おかしいのかもしれない
でも真っ直ぐに前を向くくるめくんには、最もその言葉が合っている気がして
「私…も……」
私も、そんな風になりたいと思った。
好きなのやめるとか頭では言っておきながら、結局はいつも考えちゃうんだ、志築くんのこと。
だから、諦めることが出来ないなら、私も…見守る側になろうと思う
好きな人の、幸せを
「坂下さんは、駄目だよ」
「え?」
決意を決めたのに、くるめくんはアッサリとそれを否定してしまう。