ラッキーナンバー
1番の男
芹来さんが乗ったタクシーが見えなくなったのを確認して、聖斗くんが口をひらく。
「つーか、さっきの話…」
「あっ、あぁ!さっきのはっ、なんていうか、ノリでっ…!!」
て、バカ!
素直になれって言われたばっかりなのに、また本当の気持ちを隠してしまった…
言ってから、後悔する。
「わかってる」
そっとそう口にした志築くんの顔を見てみれば、志築くんは真っ直ぐに私を見ていて
「わかってんだよ…」
なぜか切なそうに笑っていた。
「お前はアイツが好きで、俺なんか何回も"大嫌い"とか言われてるし、嫌われるようなことばっかしてる自覚もある。
だからこれっぽっちも自惚れてなんかねーよ」
ふん、と一度
志築くんが鼻を鳴らす。
「でも、気になんだからしょーがねぇだろ」