ラッキーナンバー
「…そのバカでブスな女に惚れたのはどこのどいつですかぁー」
「あぁ、」
ぶすっと口先を尖らせて言えば、志築くんが親指で私の涙をぬぐって顔を近付ける。
「俺だよ」
天才でカッコ良くて、なんでもできる完璧男のな、と志築くんが付け足したのをサラッと流し
私はギュッと背中に手を回す。
「つまり…さ」
「うん?」
「お前が1番言いたかった言葉って、何?」
わかっているくせに、私の耳元で志築くんがたずねる。
う………
素直になれ、私。
「…………好き、だよ」
たった2文字の言葉なのに、時間をかけてそう答えると
志築くんが目を細めて笑うのが見えた。
そして私達は
ゆっくりと、キスをした。