ラッキーナンバー
 


なんで俺の考えていることがわかったのかと聞くと、



『だって毎日毎日ため息ばっかりついていたら、誰でもわかりますよ』



笑顔で女が答えた。

確か名前は藤沢先生、背高くて、わりと顔も整ってて

なかなか生徒に人気のある人だった。



『では先ず、ご趣味はなんですか?』

『は?』



椅子に座るなりそんな質問を俺に投げ掛ける藤沢先生



『お見合いじゃねーんだから…』

『これも大事なカウンセリングですから
はい、ご趣味は何ですか?』



相変わらず機械的な笑顔を俺に向け、もう1度同じ質問を繰り返す。



『………昼寝?』



数学以外に好きなことなんか見当たらなくて、たまたま思いついたそれを言う。

先生は一瞬目を見開いて、またすぐにもとの表情に戻した。



『じゃあ好きなスポーツは』

『あー、汗かくのとか面倒臭いんで』

『好きな食べ物は』

『食えれば何でも』

『好きな言葉』

『適当』



俺の回答に、先生はうーん、と頭を抱える。



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