ラッキーナンバー
 


俺…に……?


『好きだと思って恋になるんではなく、興味を持った時から…
それはもう、恋なんです』



この人は、一体俺に何が言いたいんだよ。



『では、今日はここまでにしましょうか』



そう言って先生がスッと席から立ち上がる。

確か藤沢先生は、産休をとっていたカウンセラーの代わりに臨時でこの学校に来たのだと聞いていた。

そして今週中にそのカウンセラーが戻ってくるということも。


藤沢先生が学校に来るのは、1週間に1度きり。

今日を逃せばもう二度と会う機会はない。



『あの』



自然に笑った顔はどんな顔なんだろうか

たったそれだけのことだが、俺はこの人に興味を持ってしまった。



『俺と、結婚しませんか?』



藤沢先生と俺は、今日初めて話したようなもんで、全く関わりもなければ、お互いのことも全く知らない

特に、俺は。


だけど初めてだったんだ、数学以外の何かに興味を持ったことなんて。



『はい』



俺の直感が言っていた。

俺はきっとこの人を好きになる。



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