ラッキーナンバー
「先生、起きて下さい」
目をあけると、息子のクラスを担当している先生の顔があった。
辺りはもう真っ暗で、職員室には俺とその先生との二人だけ。
「あ、すんません」
起こしてもらったことに礼を言うと、俺は自分のデスクから立ち上がり、近くのソファに寝転がった。
「いやいや、先生!また寝ちゃ駄目ですって!!」
自分のジャージを毛布がわりにして寝ようとしている俺を、先生が必死に止める。
「奥さん待ってますよ!?それに、浅川くんも!」
「………だからですよ」
だから、帰れない。
俺はのそっと起き上がって、作りかけのテストの答案を先生に見せる。
「俺はテスト前1週間は、絶対家に帰らない」
俺の息子は普通に頭がいいのに、俺が親だと知れたら、周りの生徒に何を言われるかわからない
俺達が親子だということは、昔から近所に住んでたアイツの幼なじみと、先生方しか知らない。