ラッキーナンバー
「でも何もそこまでする必要…」
俺の体を気遣ってか、先生が不安そうに俺に言う。
「先生も、結婚したらわかりますよ」
守るものが出来たら
俺は初めて、自分以外の人間を大切にしている。
…なのに、だ。
「息子の頼みでも?」
俺がずっと守り続けていたことを、アイツはサラッと大勢の前でカミングアウトしやがった。
だけど俺達が親子だと全校生徒にバレても、息子を悪く言うやつは一人もいなかった。
きっとそれは、コイツの今まで造りあげてきた人望
俺は息子を甘く見すぎていた。
しかし人間ってすげぇ
大切なものが出来ただけで、こうも強くなれんのか
俺の息子は、好きな女をそいつの好きな男の元に行かせるためっていうくだらない理由で
自分が俺の息子だということを何の躊躇いもなく言った。