ラッキーナンバー
何分かして、ガラッと教室の戸が開く。
勢いよく教科書からドアに視線をずらすと、予想外の人物がそこに立っていた。
「志築くん…」
「なんだよその顔は」
あからさまに残念そうな顔をすると、志築くんはこちらに近づいてきて、あろうことか私の正面に腰かけた。
「何、勉強してんの」
「…関係ないじゃん」
「問題いっこも解けてねーじゃん」
「解けてないんじゃなくて、まだ解いてないんですーっ!」
私が屁理屈を言うと、志築くんはチッと舌打ちをした。
「特別に学年1位の俺が見てやるから、どれか解いてみろよ」
「言われなくても解くしっ」
「ほんと、いちいち可愛くねー奴だな」
可愛くなくて悪かったね!