ラッキーナンバー
 


箱を開けてみると、お母さんが中身を見て言った。



「あらぁー、かんざしじゃないの」



全体的にピンク色で、桜の絵が描かれているかんざし…

なんていうかすごく、綺麗…



「おばあちゃん、これ私に貸してくれるの?」



おばあちゃんは小さく頷いた。



「…おばあちゃんの宝物」

「え!そんなもの借りていいの!?」

「わおん…めんこいから
あげる」

「え、くれるの!!?」



こんなに、素敵なおばあちゃんの宝物



「でもっ…」



おじいちゃんからもらったものとかじゃないのかな…?

だとしたら、そんな大切なもの…やっぱりもらえない



「…もらって」



おばあちゃんは笑ってそう言うと、しわしわの手で優しく私の手にかんざしをもたせた。



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