ラッキーナンバー
 


こんなことをしておいて、志築くんは全く悪びれた様子もなく、私の肩にポンッと手を置くとふっと笑った。



「どんまい」

「誰のせいだと思ってんの!!!」



あんたの仕業でしょうが!


私が慌てて訂正のメールを打っていると、志築くんはポケットに手を突っ込んで歩き始めた。



「ちょっと、どこ行く気…」

「なぁ、道案内しろよ」

「え?」



道案内…?

ってどこに…



「送ってやるから」



なに、それ…



「…あっ、当たり前でしょ!!!」



この暗いのに、女の子一人で帰す男がどこにいんのさ

さもいいことしてやってる、みたいな言い方して…



「もしこのまま一人で帰る気だったんなら、大幻滅だったよ。男ポイントマイナス10点」

「あ?なんだよそれ」

「ちなみに志築くんは今トータルマイナス360点、今のでプラス2点」

「マイナスがっつり引くくせにプラス低くね?」



この時の私は忘れてた。

あの時、おばあちゃんから聞いた思い出のかんざしの話を。



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