ラッキーナンバー
 


「言ってみろよ、なぁ」



私を睨みつけながら、志築くんがジリジリと近づいて来る



「え、いや…えっとぉ…」



頭の中で、必死に何かいい回答を探す



「お、オヒサマはいつも、あなたの心の中にっ」

「……………」



人差し指を立てながら、首をくいっと傾げてウインクをする。



「何言ってんだ、お前」



意味わかんねー、と続けて

私に冷めた視線を送る志築くん

うん、今のは我ながらイタイと思った。




「まぁ、1番悪いのはその辺につっ立ってた志築くんだけど…一応水かけてごめんね」

「その発言、色々と間違ってねぇ?」



私は志築くんの言葉を流して

奇跡的にポケットの中に入っていたハンカチを取り出し、トントンと志築のくんの顔を拭いてあげた。



「でも化粧してたら確実に落ちてたねー」

「男がするかよ」



< 89 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop