夜空を見上げる君は些細な願いを星に呟く
夜空

「明日返るテスト、80点以上ですように!」

午後10時。

時間だ。

わたしは宿題の手を止め、窓枠をこえ、ベランダへ出た。

本当は、夜9時以降に(ベランダ含む)外に出ることは禁止されている。

でも足を伸ばせばわたしの部屋からでもベランダに出られる。

物音を立てないように。

静かに。

慎重に。

カラカラカラ・・・

右の方で扉が開く音がする。

そして。

「うー・・・んん。」

声にならなそうだけどやっとのことで聞こえる。

ギシッ、ギシッ。

そんなちょっと個性的な伸びをし、ベランダの柵に手をかける。

そして流れるように。

響くような透き通った声で。

「明日返るテスト、80点以上ですように!」

おそらく手を合わせたのだろう。

パンッと乾いた音が静かな闇に響く。

しばらくすると何も聞こえなくなった。

カラカラカラ・・・

家に入った…かな?

見計らって、わたしも家に入る。




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