俺の彼女が一番可愛い！

＊　＊　＊

　生姜焼きを中心に、小松菜と油揚げの味噌汁にご飯がテーブルの上に並べられた。

「…毎日こんなことやってんの？」
「いや、毎日じゃないよ。綾乃ちゃんがやるときもあるしね。」
「まぁでも、健人の方が上手いし、健人の方が作ってくれる頻度高いよ。」
「それは俺がまだ社会人じゃないから！」
「そうじゃなくて、健人が割と尽くすタイプだからかな。」

　綾乃はそう言って、凛玖ににっこりと微笑んだ。

「じゃあ、いただきます！2人ともありがとう。」

　綾乃がそう言うと、健人が凛玖を見つめて優しく笑う。

(…なるほどな、確かにこのありがとうは言われたらぐっとくる…。)

　きっとそういうことなのだろうと解釈し、凛玖も手を合わせた。

「いただきます。」

　生姜焼きなんて生まれて初めて作った。生姜をすったのも初めてだ。

「美味しい！岡田くんは何やったの？」
「脂身落としたり、ご飯炊いたりですかね。あと味付け？ざっくりしててよくわからなかったですけど…。」
「健人、だめじゃん。ちゃんと正確に教えないと。」
「え、だって普段から測らないし…何杯とか言うとそれも嘘にならない？入れるものだけ間違えなければ大幅に味変わらないから大丈夫だよ。」
「…入れるものは覚えた、さすがに。」
「それで、例の彼女さんとは進展した？」

　綾乃の口角が上がる。あまり普段見れる表情じゃない。

「うっ…いや、進展も何も…。」

　凛玖の顔はやや赤い。それを見た綾乃はますますにやにやする。

「そうなんだぁ。どこで知り合うの？合コン？」
「いやあの…バイト先の、お客さんで…。」
「え！？私たちと同じじゃん！」
「そうだよ。俺も今日聞いてびっくりした。」
「へぇ～…じゃあ、お相手社会人かな。普通に話す仲？」
「…会えば、はい。あと、帰りが同じになれば、送って行ったりとか。」
「じゃあ、あともう少しじゃない？」
「え？」

　凛玖は目を丸くして、綾乃を見つめた。