俺の彼女が一番可愛い!
「嫌われてるとは思ってなかったけど、まさかバレンタインにくれるとは思わないじゃん。」
「んー…でも、彼女も言わなきゃって思ってたんじゃない?だって出会って1年くらいだよね?」
「…まぁ、意外と出会ってからは経ってるし、何の進展もない期間も長かったんだけど。」
「だからこそ大事にするんだよ。実はもっとべたべたしたいって思ってましたー!って。」
「咲州、そういうの上手そうだよな。」
「え?」

 洗い物が終わり、タオルで手を拭いた。これで閉店作業はほぼ終わりだ。

「付き合い始めたすぐの頃って、どうしてた?」
「うーん…でも、綾乃ちゃんが働いてたから、連絡とかは結構我慢したかな。そんな頻繁にするのも疲れてるしって思って…。でも結局寂しくて電話しちゃったことも少なくないけど。」
「その電話ってどう切り出すんだよ?」
「どう…か。綾乃ちゃんが何してるかなって思って、とか。声が聞きたくてとか?」
「…すごいな…なんでそんなセリフ、すらすら出てくんだよ。」
「だって決まった用事はないんだよ。ただ、綾乃ちゃんに迷惑かけない程度には声が聞きたいってだけで。」
「そりゃそーなんだけどさ…。ほんっとそういうとこすごい。」
「…そう?」

 何気なく言ったりやったりしてきたことを凛玖がすごいと言ってくれるのがなんだかいつも少し照れくさい。健人の頬は少しだけ熱くなる。

「…難しいよな、連絡とか。それこそ一緒に住めればそうでもないんだろうけど。」
「そうだね。飲み会が急に入ったとか、そういう連絡が増えるからね。それ以外のことは家でできるし。でも、意外とね電話嬉しかったって、綾乃ちゃんは言ってたよ。」
「…まじ?」
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