俺の彼女が一番可愛い!
お花見ダブルデート
* * * * *

 大学4年の春が来た。春は季節として好きだ。寒すぎず暑すぎず、空気が気持ちいいというのも挙げられる。そして、綾乃に桜を見るのが好きだと言われてからは二人で毎年違う場所の桜を見に行くことにしていたからでもある。

「なぁ。」
「ん?」

 今日はたまたま講義が被っていた。二人とも比較的真面目なので、講義の時間は必ず守るタイプでもある。

「デートって何してる?」
「デート?家?外出?」
「…家は行った。」
「おお!あれ、いきなり家?」
「…理真さん、忙しくてあんま外に連れ出せない。」
「なるほどね。しかもこの辺の学校なんだもんね。子供に会ったら気まずいよね。」
「…そうなんだよ。」
「それで、外デートって話?」
「うん。」

 とはいえ、健人たちもそんなに出かける方ではない。忙しくてだらだらすることも多いし、映画は二人とも好きだが、自分たちでつまみを作って飲みながら映画を観たいタイプなので、借りてきて観ることも多い。デートに関してはあまりアドバイスができそうにない。

「…ごめん、デートについてはあんまり参考意見出せないかも。」
「なんで?」
「そんなにものすごくしてるわけでもないし…。」
「予定は?」
「お花見?」
「花見かぁ。どこ行くの?」
「ちょっと遠いところ。車借りて、綾乃ちゃんは平日に休みとって。」
「え、結構ガチじゃん。」
「うん。混んでる中花見するの好きじゃないんだって。お昼は作っていくし、まぁそんなに長居はしないけど。ドライブ中心?」
「運転は咲州?」
「基本はそうだけど、綾乃ちゃんも運転するよ。強制的に交代!って。」
「…なるほど。でもドライブでどこかってのはいいな。あと、花見も。」
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