俺の彼女が一番可愛い!
* * *

「ただいま。」
「おかえりー遅かったね。」
「綾乃ちゃん起きてるの!?」
「曜日感覚おかしくなってる?明日土曜日だよー。」
「あ、そっか。一週間、お疲れ様でした。」
「うん。健人もお疲れ!」

 4歳年上の彼女、綾乃はビールをぐいっと飲みながら映画を観ていた。時計は11時を少し過ぎたところを指している。

「綾乃ちゃんお風呂入ったよね?ってあー!また髪乾かしてない!」
「ビール飲んだらやるよぉ~!普通にシャワーにしちゃったよ?」
「うん。シャワーでいいや。入ったら髪やってあげるから!」
「はぁーい!」

 ビールは一体何本目だろう、なんて想像する。実はそれほどお酒に強くない綾乃は割とすぐに酔っ払ってしまう。

「…酔ってるところも可愛いけどね。」

 そんなことを呟きながらさっさと服を脱いでシャワーを浴びることにする。綾乃の髪を乾かすのは、健人の好きなことの一つだ。
 それと、今日は金曜日だから少し夜更かしして聞いてもらいたいこともある。今日いきなり話しかけられた、年上の女性に恋をしている同い年の大学生の話。
 シャワーを終え、自分の髪は適当にタオルで拭いてからリビングに戻る。綾乃はというとまだビールは飲み終わっていないようだ。

「早!」
「綾乃ちゃんの方こそ飲むの遅くない?ていうか何本目?」
「…2本目だからペースが…。」
「もういらないならもらうけど。」
「あげるー!」

 綾乃の手から少しぬるくなったビールを受け取り、さっと飲み干す。健人は酒に弱くはない。(弱そうな見た目なのに詐欺だと綾乃にしょっちゅう言われる)
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