俺の彼女が一番可愛い!
* * *

 お互いドライヤーをかけ終わり、二人で同じベッドに入る。一緒に入るときは先に綾乃が入って、その後健人が入ってくる。

「綾乃ちゃん。」
「ん?」

 健人に背を向けていた綾乃がくるりと向きを変えた。

「…さっきの話、続きしていい?」
「恋愛相談のやつ?」
「うん。」
「どうぞ!」
「今までさ、別に恋愛経験豊富じゃないし。」
「ほんとだよね。豊富じゃないっての信じられない!」
「綾乃ちゃんが全部初めてだって…!」
「知ってるけど、なんていうかこなれてたけどね。」
「そんなことないでしょ!」
「なんだろうなぁ、多分健人の場合は恥ずかしさとかのベクトルが違うっていうか…。まぁいいや、はい、続きどうぞ。」
「…なんか腑に落ちないけど、でも、とにかく、恋愛経験豊富じゃないのに聞かれてもさぁ…。」
「まー…年上女って言ってもいろいろだしね。」
「うん。」
「でも、いいじゃんか、話聞いてあげたり、健人なりの話をすればいいんだよ。どうせ健人のことだから、しっかり応えられるかなとか期待外れだって思われたらどうしようとか思ってるんだろうけど、まぁそれは置いておきなって。純粋にその岡田さん?だっけか。その人と話すのを楽しむ!」
「…大丈夫かなぁ。」
「大丈夫。」

 綾乃が真っ直ぐ目を合わせて、健人の頬に手をあてた。

「まぁ、私の話はあんまり一般論として使えないと思うけど、なんならうちに連れてきてもいいし、手伝えることはちゃんと手伝うから。」

 いつだって綾乃が健人に力をくれる。健人はそっと、綾乃の額に唇を乗せた。

「…ありがと。俺なりに頑張ってみる。」
「うん。進展あったら教えてね。」
「うん。」

 綾乃が健人の胸に顔を埋める。それはおやすみ、の合図。
< 6 / 41 >

この作品をシェア

pagetop