いつか、きみの空を。
◇
中間テストが終わり、六月も半ばに差し掛かる頃。
忘れていたわけではないけれど、あまり気の乗らないタイミングで慶からの招集がかかった。
最後の授業が終わる間際に携帯が震えて、開いてみると慶からのメッセージが一言。
クラスメイトが帰り支度を始める中、日菜はすぐにわたしの席にやってきた。
「花奏にも届いた?」
「うん。こっちに来るって書いてある」
「大丈夫かな……慶、見た目は結構目立つから」
「心配?」
死角になっていて見えないのはわかっているはずなのに、窓から正門の辺りを見ようとする日菜ににやにやと笑ってみせる。
すると、パシンと軽く肩を叩かれた。
「にやにやしないでよ。大丈夫。ふたりで来るみたいだし、慶は葵衣には適わない」
日菜は自信満々に言い切るし、わたしもそう思うけれど、葵衣からの扱いと同様に慶がだいぶ不憫に思える。
そんなことを言いながらも日菜は今も昔も慶一筋だって知ってるから、心配はしていないけれど。
慶も胸を張ってわたしをフるくらい日菜のことが好きなら、早いところ告白してしまえばいいのに。
大切な幼馴染みのふたりが結ばれる日を、わたしも葵衣も心待ちにしているのだから。