雨の後は、きっと虹がかかる
……あ。ここ、前も同じような感じだった。
……保健室?
「……起きた?」
まだ焦点が合わずにぼんやりとする目で覗き込んでいる人を確認した。
……雪村くん、か。
「体育の授業で気絶したって聞いたけど、何かされた?」
全部言いたかった。
でも、思いとは裏腹に冷たい言葉ばかりが零れていく。
「何も無い。……雪村くんには関係ない。
私がボールを取り損ねただけだから。」
分かってほしい。これは、これ以上雪村くんに迷惑を掛けたくないのだという私の気遣いということを。
だけど、そんなことは気にしないような感じだった。
「週に2回のバスケの授業で真っ青になるようなその手は何なの?」
「……私さ、運動下手くそだからうまくボールをキャッチ出来ないんだ。」
たぶん、これでいける。