雨の後は、きっと虹がかかる


昼休みの今、お弁当が無くなっていた。


……机の横に掛けたはずなのに。


ないと思うけれど、ロッカーの中も探した。


……ない。


教室に入ると、くすくす笑う声がした。


視線だけ教室中に滑らせると、案の定、上村さんを中心に笑っていた。


「なあにー?やだー、こっわーい。あの目。」


絶対私の弁当を隠したと思う。


「……私の弁当、知らない?」


「知らなあい。あんたの弁当を隠すほど暇じゃないからー。」


……あとはどこを探せばいいの?


平気なふりをして席に戻ると、お弁当があった。


中身を確認すると、ぐちゃぐちゃだった。


これでは食べられないと思って、購買に行こうと席を立つと声を掛けられた。


「どうしたのー?星野さん」


< 15 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop