雨の後は、きっと虹がかかる


「……雪村くん……?」


「……星野。」


なんでこんな所に?


「ごめんっ!」


いきなり頭を下げられた。


「勝手に家まで来て、ごめん!」


「……え、と、大丈夫だよ……。

でも、なんで?」


「担任に言われたんだ。

星野の勉強を見てやってくれって。

授業、どこまで進んでいるか、分からないだろ?」


それでわざわざ来てくれたんだ。


「ありがとう。

でも大丈夫だよ。

同じくらいのところを勉強しているから。」


「なんだ、よかった。

じゃあまた。」


空気を白く染めて、帰ろうとしていた。


「……待って……!

寒い中来てくれたんだし、上がっていかない?」


歩き出した背中が止まる。


それから、冬に溶けるように笑って、頷いた。


< 172 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop