雨の後は、きっと虹がかかる
「ごめんね、薄汚くて。」
電気をパチパチつけながらリビングに入る。
「や、全然。」
よく使う部屋しか掃除していないから、ところどころ汚い。
まさか人を家に上げるなんて思わなかったから、これからはもっと綺麗にしようと反省した。
「……お父さんと、お母さん、だよな……。」
仏壇の方に近づいて、ぽつりとつぶやく。
「……うん。
一昨年に、火事で。」
最近、人の死に鈍くなった気がする。
ニュースで流れる交通事故とか、芸能人の死とか、何も感じなくなった。
受け入れたわけではないけれど、拒絶しているわけでもない。
シューッと沸騰する音で我に返り、茶葉を準備する。
蒸らしてからカップに注いで、1つを手渡す。