雨の後は、きっと虹がかかる


「ごめんね、薄汚くて。」


電気をパチパチつけながらリビングに入る。


「や、全然。」


よく使う部屋しか掃除していないから、ところどころ汚い。


まさか人を家に上げるなんて思わなかったから、これからはもっと綺麗にしようと反省した。


「……お父さんと、お母さん、だよな……。」


仏壇の方に近づいて、ぽつりとつぶやく。


「……うん。

一昨年に、火事で。」


最近、人の死に鈍くなった気がする。


ニュースで流れる交通事故とか、芸能人の死とか、何も感じなくなった。


受け入れたわけではないけれど、拒絶しているわけでもない。


シューッと沸騰する音で我に返り、茶葉を準備する。


蒸らしてからカップに注いで、1つを手渡す。


< 173 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop