雨の後は、きっと虹がかかる


あの時は、見ているだけで何も出来ない私が嫌で、勢いで何も考えずに動いていた。


いじめられっ子を庇った自分に酔っていた。


……なんてみっともないんだろう。


ぼろぼろ溢れる涙をぐっと拭うと、横には海が広がっていた。


ここが、海。


夜に見る海は、昼とは違った感じがする。


昼間の海は全てを受け入れるような優しい色をしているのに、夜の海は無理にでも飲み込みそうな不吉な色をしている。


今も、静かに近くの砂をさらって飲み込んでいった。


私もあんなふうに、いじめに飲み込まれてしまうのだろうか。


この海になら、飲み込まれてもいいと思う。


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