雨の後は、きっと虹がかかる
最後に、夏希が来た。
懐かしい感じがした。
「……ごめんなさい。
わたし、陽が大山さんを庇った時、本当は凄いって思ったの。
だけど……、ごめん、今さら何を言っても言い訳だよね。」
「いいよ、言い訳でも。
その時の夏希の気持ち、知りたい。」
そういえば、お互いを名前で呼んだのは8ヶ月ぶりだった。
久しぶりすぎて、なんとなく気恥ずかしかった。
「……あの時、わたしはすぐにでも陽に駆け寄って、『凄かった、格好よかったよ』って言いたかった。
でも、その前に沙紀が陽をはぶるって言い出して、何も言えないままだったの……。
わたしも、ここで陽の行動を褒めたらはぶられるかもしれないって自己保身に走ったの。」
そんなの、誰だって思うに決まっている。
だから、大丈夫なのに。