雨の後は、きっと虹がかかる
陸上部があと少しでゴールする時、ものすごい悲鳴が上がった。
「キャーー!」
「頑張れーーー!」
「走れーー!」
「行けー!」
その声は、私に向けられるなんてことはないはずなのに、なぜか私は頑張って走っていた。
……ああ、楽しい。
苦しいけれど、あと少しでゴールする、この瞬間が私は好きだ。
たとえ、それが無理強いをされた場合でも。
誰にも応援されなくても。
私が楽しければ、それだけで十分だ。
こんなに嬉しいことは、他にない。
この時だけは、いじめられているなんてことは、眼中に無かった。