雨の後は、きっと虹がかかる


いつの間にか、ゴールしていた。


しかも陸上部の子に続いて2位だったらしい。


誰も私のことを褒めてなんかくれなかったけれど、十分だ。


自分が楽しかったのだから、それでいい。


放送席の人達は、エントリーシートと私を何度も見比べて目を白黒させていた。


クラスの方は、上村さんがこれ以上ない程に怖い顔をしていた。


上を見ると、真っ青な空に白い雲がぷかぷか浮かんでいた。


……綺麗だ。


だんだんと目の前が真っ白くなってきて、空を見過ぎたのかもしれないと、下を向いたら視界が横転した。


……何が起きたの?


考えることまで上手くいかない。


全ての感覚が遠い。


最後に名前を呼ぶ声だけほんの少し、聞こえた。


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