雨の後は、きっと虹がかかる
家の方向なんてただの言い訳で、本当のところは私以外の人には余計な被害を受けさせたくないからだ。
「裏門から自転車。」
「……じゃあ逆だね。また明日。」
体調のいい今のうちにさっさと帰ってしまおう。
近くに置いてあった鞄を持って下駄箱に向かおうとして、あることを言い忘れたことに気づいた。
「……私のこと、誰が運んでくれたの?」
それを聞いた途端、彼が黙ってしまった。
……何か、気に障った?
「……ああ、そいつのことはよく覚えていない。
思い出したら言うよ。」
「……ありがとう」
話すだけ話したら、今度こそ用がないから帰る。
あらぬ噂をたてられないためにも。
「じゃあまた。」
返事も聞かずに保健室を出た。