雨の後は、きっと虹がかかる


「……それは、その文法じゃなくてこっち。」


雪村くんが指さすために体をぐっと近づけると、上村さんの顔はますます赤くなった。


……好きなのかな、雪村くんのこと。


「あ、ありがとう!」


彼は一言、「ん。」とだけ言って席に戻った。


その姿を名残惜しそうに見ながら黒板に教わった文法を入れて、席に戻った。


今はまだ、出席番号順の座席だから2番の上村さんと最後から3番目の雪村くんではかなり離れている。


私は一番後ろの席だから、2人の様子がよく見える。


雪村くんはとっくに教科書に目線を戻しているけれど、上村さんは時計を見るふりをしながらちらちら雪村くんを見ていた。


今なら上村さんはご機嫌だから何もしなさそう。


そんなことを考えていると、授業の終わるチャイムが鳴った。


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