雨の後は、きっと虹がかかる


まだ3分の2くらい残っているクラスの人達は、どうなるのかと成り行きを窺っていることが分かる。


焦って声を出そうとすればするほど、どんどん喉が締め付けられたように何も言えなくなる。


声の代わりに息ばかりが漏れる。


「まじでなんなの?」


上村さんが私に向かって歩いてきた。


と思ったら、もう伸びて前髪でなくなった髪を掴まれた。


……痛い。


「そうやって黙って誰かの気を引いているつもり?」


……どういうこと?


痛みなんてすっかりなくなるほどに衝撃だった。


なんで?と聞こうとしたのに、また声が出ない。


どうにかして質問する方法を探していると、真っ赤なリップを塗った唇が不気味なほどに美しく曲線を描いた。


それが、私の見た最後の色だった。


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