雨の後は、きっと虹がかかる


次の瞬間には、右側がちかちかした。


痛みなんて通り越して目の前に変な物が見える。


頬を液体のようなものが伝っている。


……目を殴られたの?


顔を触ると、ヌルッとした。


何、これ。


……血?


それが血と分かった途端に痛みが走った。


なのに、声が出ない。


「へえ、強いね」


強くなんかない。痛い。


「痛くないんだ。

じゃあもう1発良いよね?

これから夏休みなんだし、今のうちにストレスはしっかり発散しておかないと。」


本当にやめて。これ以上やられると、目が見えなくなる。


声だけでなく、彼女の前では全てを奪われる。


拒絶しても、それすら封じ込められてしまう。


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