雨の後は、きっと虹がかかる


病院に着くと、霊安室に連れて行かれた。


「……外傷は、それほど酷くないので大丈夫かと思います。

ただ、今回は煙を吸ったために、呼吸器系がやられたことが原因です。」


1人の医師がドアを開けた。


「陽ちゃん!」


振り向くと、父方のおばさん夫婦がいた。


確か、お父さんのお姉さん。


急いで来たらしく、いつもの優しい面影が消えて憔悴しきった顔をしている。


「……火事で、だった……って聞いたわ。」


「……私も、何が何だかよく分からなくて……」


「……たった1人の弟なのに……」


「……心の準備は出来ましたか?」


最後に医師が聞いた。


訳が分からないまま、私は何度も頷いて、部屋に入った。


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