雨の後は、きっと虹がかかる


どれだけ同じ姿勢でいただろう。


気付くと、外はうっすらと黄色味を帯びていた。


帰らないと、とは思うけれど、動く気も起きなかった。


「……何やってんの?」


……私?


ドアの方を見ると、雪村くんがいた。


声が出なかった。


その代わりに、首を振った。


「……いつまでそこにいるつもりなんだよ」


一気に帰る気になった。


「……何もない。」


答えになっていない答えで笑える。


自分の席にあるぼろぼろの鞄を取ってドアに向かった。


なのに、私は廊下に出られなかった。


……またやられる?


……怖い、いやだ。


そう思うと動きも何もかも、全てが止まった。


息をすることすらままならない。



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