雨の後は、きっと虹がかかる


「目、そのままで帰るの?」


……目?……ああ、そうか。


あの後からずっと血まみれのままだったんだ。


何もされないと分かった途端に安心して、力が抜けた。


「それ、ほったらかすと本当に目が見えなくなるかもしれないから保健室行くぞ。」


私が行かないとでも思っているのか、手を掴んで歩き出した。


「……私、1人でも行けるんだけど。」


「だって星野、そのまま帰りそうだったから。」


予想通りすぎる。


「ほら、行くぞ。」


「……うん。」


なぜか手を掴まれたまま、保健室に連れて行かれた。


いいの?と思った。


まあ、私が誰かと手を繋いでいたとしてもみんなリンチされるのかなってくらいにしか捉えないと思うけれど。


一瞬でもそう考えた自分が恥ずかしい。


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