雨の後は、きっと虹がかかる
「じゃ、消毒するから。
そこ座って。」
何とも奇妙な状況だけれども、これは仕方が無い。
私だって、こんなのは1人では出来ないのだから。
ここは大人しくなって早く終わることを祈る。
「……目の周りも、擦れてる。」
彼が悲しそうに呟いた。
どうして自分のことでないのに、こんなに他人のことに心を痛めているのだろう。
しかも私なんかのために。
いつの間にか用意されていた消毒液を脱脂綿に染み込ませて、私の顔に載せた。
「痛くない?」
「……うん。」
ものすごく初めてに感じられる手つきなのが伝わってきた。
「そんなに怖がらなくていいよ。
ちょっとくらい痛い方が染み込んでいる感じがするからいい。」