雨の後は、きっと虹がかかる


「……泣きたい時は、泣くんだよ。

我慢していることは、多分両親にも伝わっている。」


「……泣いて、いいの……?」


「ずっと泣かない方が心配されると思う。」


「……泣き方なんて、もう、分かんない……」


我慢しすぎたのか、本当に泣きたい時に泣けなくなっていた。


泣けないのが、こんなに苦しいこととは思わなかった。


その時、彼が勢いよく隣で立った。


「行くぞ!上!」


「……え?」


「いいから早く!見せたいものがあるんだ!」


そう言って、私に手を差し出した。


訳が分からず、その手を私が掴んで立つと、神社の階段を登り始めた。


「どこに行くの?」


聞いてもただ、「いいとこ」としか答えない。


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