雨の後は、きっと虹がかかる


「着いた!

ほら、ここから見てみろよ!」


「う、わあ……」


下で見ていると切なく見えた光が、上から見るとまるで天の川みたいだった。


「俺、毎年ここからあの灯篭流しを見ていたんだ。

毎年、これを見る度に大切な人に見せたいって思っていた。」


あまりに元気の無かった私を励ましてくれたのか。


「ありがとう」


いつもはぶっきらぼうなお礼も、今は普通に言える。


「あ、笑った。」


あれ?笑えていた?


頬を触ると、久しぶりに表情筋が上がっているのが分かる。


まだ、笑える。


そのことにどうしようもなく安心して、嬉しくて、何度も笑ってみた。


きっと雪村くんは変な人と思っているだろうけれど、そんなことはどうでもよかった。


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