無愛想な仮面の下
 帰り道は晴れていた。

 水溜りに滑って転びそうになるところをすんでのところで支えられた。
 佐久間さんといると私の方こそ変なところを見られてばかりだ。

「ほら。言わんこっちゃない。」

 前の時と変わらないやり取りに2人笑う。

「頼むからお前は怪我してくれるなよ。」

 もう。そういうこと言うかなぁ。
 佐久間さんはちょっと無神経なんだよね。

 だから言ってやるんだ。

「もし、私が佐久間さんの雨のせいで何かあったら………。」

 顔が曇った佐久間さんを確認してから言ってのけた。

「私なら、責任取って!って迫りますから覚悟しててくださいね!」

 目を丸くした佐久間さんがハハハッと笑う。

 その体を軽くたたいて「なんで笑うんですか!」と突っ込んだ。

「それに私、あんたでもお前でもなく由莉です。」

 フッと息を吐いて「あぁ知ってる」と笑う佐久間さんが憎らしかった。









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