イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で



鮭のおにぎりを完食し、渇いた喉に冷たいお茶をゴクゴクと流し込む。


「...帰るか」


帰りたくないけどね?


帰ることしかできない。


はあ。


イートインコーナーのイスから立ち上がり、ごみを捨てたあと、

自動扉へと向かう。


コンビニ特有のメロディが流れながら目の前の透明の扉が開いたとき、

目の前の景色に、上から小さな水が落ちてきていた。


「...え」


それはやがてポツンポツンと音を立て、しまいにはザーザーなんて大量の水...いや、雨へと変わっていった。


「...うそでしょ」


出入口でありながら、呆然と立ち尽くす。


今日降水確率0%だった気がするんだけど。


この雨の量だと、傘を買うしかない。


...仕方ない、無駄な出費だけど今回はやむ終えない。


わたしは傘が売っているところに足を進めて、ビニール傘を一本手に取ってレジに向かいながら財布の中身を確認した。


「あれ...1、2、3、4...」


なんと、


なんとわたしの財布にはあと499円しかなかった。


傘は500円。


............1円足りない。


もう、泣いていい?

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