イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


暁は、少なくとも“あのとき”、わたしのことを“女”として見てくれたのかもしれない。


といっても、からかっただけだと思うけど。


どっちにしろ、付き合ってるわけじゃないのに、あんなことするのはおかしい!


頭突きで回避したけどさ...。


わたしだって避けたくて避けてるわけじゃないんだけど、暁にあんなことされたの初めてで、からかわれただけだとしても、戸惑っているんだ。


でも、ずっと避けてるわけにはいかないから、近いうちに、前みたいに話せるようになりたい...とは思う。


時間が解決してくれたらいいけどーー...。


「ーーねえ、彩ちゃん。暁と遊園地の日、喧嘩でもしたの?」


「っえ!?」


お昼休み。


葵ちゃんはオレンジジュースを飲みながら、キュルンとした瞳をわたしに向けた。


わたしは思いがけない質問に、卵焼きを吹き出しそうになった。


「ど、どうしてそう思うの?」


卵焼きをなんとかゴクンと飲み込んでから、口を開いた。


葵ちゃん、なんでわかるの!?


わたしそんなに顔に出てる!?


「だって、そのあとから暁の話まったくしないから。いつも暁とこうこうあってむかつく~!とか言ってるじゃん!」


その“いつものわたし”を思い浮かべたように言った。


...わたし、普段そんなに暁の話してたかな?


無意識?


こわっ。


「喧嘩ってゆーか...」


暁が作ってくれたおかずを自分で詰めたお弁当に目線を落とす。


うーん...さすがにあんなことされたなんて言えない...。


未遂だけどね!?

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