イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


「えっと......」


気軽に電話したはずなのに、繋がった瞬間、心臓がドキドキと大きく波を打った。


なに緊張してんの自分...。


すんなりと言葉が出てこなかった。


『もうすぐ帰りのバス出発すんだよ』


急かすように言った。


「そ、そうなんだ。

な、何時ごろ家につく...?」


よかった、聞けた。


『んー、学校まで3時間かかるから、19:30くらいだな』


「そ、そっか!わかった」


『なんだよ』


「べ、べつに...」


別に、なんて、なんて可愛くない自分...。


ちゃんと素直にならないと...。


「あのね、暁、...」


『ん?』


“おめでとう”は帰ってから言いたい。


だけど今は、“おつかれさま、気をつけて帰ってきてね”

それだけはちゃんと言いたい。


“いってらっしゃい、がんばってね”が行くときに言えなかった分、伝えたいーー。


勇気を出して、口を開いたーー


「えっとね、おつーー」


『暁~!!ほんとに帰っちゃうの??マナの家泊まっていけばいいじゃん~!!』


そのとき、わたしの言葉を遮るように、電話の向こうから甲高い女の子の声がした。

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