イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
どうやらわたしは迷子...
いやいや、迷子じゃない!!
だって、わたし3日後には新高校生!!
迷子になんてなるはずがない!!
必死に自分に言い聞かせる。
だけど...今目の前にある分かれ道を、右に行けばいいのか左に行けばいいのか全く検討がつかない。
降水確率0%だったはずなのに、歩行者はみんな傘をさしていて、髪も服も全身びしょびしょなんて、わたししかいない。
...なんだかもう、泣きたくなってきた。
強がりで意地っ張りなわたしだけど、
今回ばかりは涙だって出てくる。
暗くて寒くて。
一人で暮らしたいはずなのに、
一人だとなにもできないーー
「おい、雨女」
そんな声が後ろから聞こえてきたと同時に、
今まで全身で感じていた雨水がピタリと止んだ。
え...?
振り向くと、そこには呆れた顔の暁がいた。
彼自身は黒い傘を差していて、もう片方の手で水色の傘をわたしに差してくれている。
「わ...わたしの傘!」
水色の自分の傘を奪うように受け取った。