イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
わたしは空になったカレーライスのお皿と交換するように、
物体...いや、チョコケーキを暁の前に差し出した。
「どうなったらこうなんだよ」
まじまじと観察しながら、肩をふるわせてクックと笑った。
さすがに自分の手で潰しましたとは言えなかった。
「べ、べつに笑わせたくてこんなんにしたんじゃないからっ!!」
綺麗にデコレーションしたやつ、写真に撮っておけばよかった!
心底そう思った。
暁はまだ半笑いのままケーキにフォークを突き刺し一口口に運んだ。
「ど、どう?」
ドキドキしながら尋ねる。
黙ったまま感想待ってるほうが、身が持たないと思ったのだ。
「味はうまい」
返ってきた答えにほっと胸を撫で下ろした。
「よかったー!!」
「さすがにこんなに食えねえし、お前も食えば」
「うんっ」
わたしもフォークでケーキを口に運んだ。
見た目はあれだけど...味はおいしいっ!
一緒に食べているからか、余計においしく感じた。
「ねえ暁。
誕生日おめでとう」
遅ればせながらもその言葉を伝えた。
「言うのおせーよ」
「ごめんごめん。
...これからもよろしくね?」
「...こちらこそ」
こうしてわたしと暁はケーキを半分こして平らげた。
喜んでくれてよかった。
わたしは嬉しくて胸がいっぱいになった。