イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「もう寝る。おやすみ」
ソファにいるわたしにそう声をかけてくれた。
ここで行動に移さなければ、きっともう一生渡せない。
「あ、ま、待って暁!」
わたしはあわてて呼び止めて、ソファから立ち上がり、ようやく自分の部屋からあるものを取ってきた。
「...これ、あげる!」
照れ臭くて、ぶっきらぼうに暁の胸に差し出した。
綺麗にラッピングされたプレゼント。
中身は...
「タオルか」
「...部活で使って」
なんだか恥ずかしくて暁の顔が見れない。
カレーとケーキは葵ちゃんと作ったけど...
青いフェイスタオルは、間違いなくわたし個人のプレゼントだ。
「暁に似合いそうだなって...偶然見つけたから!!」
偶然たまたま、ね!?
「わざわざ買いに行ったとか全然そんなんじゃないから!!勘違いしないでーー...」
余計なことばっかり口走る。
全然素直になれない。
言い終わるころ、
目線を下げていたわたしの瞳には、暁の足元は1メートル先に映っていたはずなのに、
気づいたときにはわたしとの距離はゼロになっていて、
暁の胸の中にいることを理解したのは数秒経ったあとだった。