イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「...いやいやいや、わたし、暁のことかっこいいとか思ったことないよ」
走ってる姿だけは、いいなって思うけど。
「それ、暁に言ってみなよ」
「お前殺すぞ、とか言われそう」
にやみをきかした暁が容易に想像できる。
「間違いない」
「まあ...意地悪でむかつくけど、優しいところもたくさんあるってことは、知ってるよ」
暁の優しい笑顔が、無意識に思い浮かんだ。
「それこそ暁に言ったげて!!」
「そんなの照れ臭いよ。わたしと暁はただの幼なじみで同居人ってだけで、恋愛感情とかないよ」
わたしのこと抱き締めたりキスもしてきたことあるけど...あんなのただの流れだし......。
葵ちゃんにはそのことは話していない。
キスしてきた次の日だって、暁はなにもなかったかのように普通に接してきたから、わたしもそうするしかなかった。
また自分だけが気まずくなって、一方的に避けるなんてことはしたくなかったし。
だからあんな流れのキスなんて...なかったことにしたーー。