イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「夕くんって...◯◯高校に行くんじゃなかった...?」
わたしは自然とそう質問していた。
中3のとき、たしか◯◯高校に行くって聞いたはず...。
「実は、◯◯高校は第2希望で、ほんとは、陸上がしたくて体育科のある男子高に行きたかったんだ。
でも親に反対されてて。
最後の最後に認めてくれて、男子高に移ったんだ」
夕くんはあのころと変わらない爽やかな笑顔でうれしそうにそう言った。
「そうだったんだ...」
夕くん、中学のとき一番足が速かったもんね。
そういえば、中2のときに一度だけ体育科のある男子高に行きたいと聞いたことがあった。
「...だから...」
彼は目線を一度下げると、
少しの間ののち、わたしの瞳をしっかりと見て。
「...彩の女子高も近いから、いつかどこかでばったり会うんじゃないかって......ずっと思ってた。
だから今、すごくうれしい」
彼のまっすぐな瞳に、わたしの胸はドキンッとジャンプした。