イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


「...っ」


わたしはなにも言い返せなかった。


そんなふうに言われたら、いったいなんて返したらいいのだろう。


“わたしも”なんて、言えないよ。


だって...あのときーー

わたしから突然別れを告げたんだから......。


あれ以来、彼と一度も話していない。


だけどほんとは......


ずっと彼が好きだった。


今は思い出にできているけれど、

3ヶ月ぶりに偶然再会した彼に、戸惑いを隠せない。


わたしがなにも言わず目線も泳がしていると。


「...困らせてごめん。

久隆と付き合ってるのに、こんなこと言われても迷惑だよな」


申し訳なさそうに言った彼。


「......えっ?」


久隆って、暁のこと、だよね?


今、付き合ってるって、言った...!?


「つ、付き合ってなんかないよ!?」


びっくりして慌てて訂正した。


どうしてそんな誤解が生まれてるの...っ!?


「そんな隠さなくてもいいよ。アイツ、かっこいーよな、足も飛び抜けて速いし」


「待って待って!ほんとにちがう!

まさか、暁がそんなこと言ってたの!?」


そうだとしたら、ほんと怒るよ暁。


しかも、よりによって、その場に夕くんがいるなんて。

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